僕が宇宙人になるまで / 2019 第31回佐渡国際トライアスロンAタイプ“感想”記

2019年9月1日に開催された佐渡国際トライアスロンAタイプの出場と完走の記憶です

EP6: 激走佐渡島(前編) 峠を越えろ!

前回までのあらすじ

スイムアップ。トイレ行きたい。

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スイムアップぐらいからの頭痛は気になっていたが、バイクの滑り出しは好調。沿道で応援してくれている地元の方々に手を振りながら駆け抜ける。

協賛企業のSCOTTからも「ナイスバイク!」と熱い声援が(ちなみに僕のバイクはSCOTTのSpeedsterである)。

とにかく回転数を上げて、脚に疲れをためないペダリング。6月の関東学生選手権では活かされなかったがそういう練習をしてきた。スピードも平坦なところなら32-35km/hぐらいで走れている。

10㎞ぐらい行くころには頭痛も治まってきていた。トイレが下り坂の途中にあったのでスルーしてしまったが尿意も落ち着いてきて、20㎞地点の相川WS(ウォーターステーション)まではもってくれそうだ。

左側から流れてくる潮の香りがなんだか不愉快だった(ふつうなら気分爽快なところだろうが、2時間弱の海水泳は潮の香りにうんざりするのに十分すぎた)。

ともかく、これは割と余裕を持っていけるのではないか。練習不足からくる事前の不安とは裏腹に快調な走りができていた。

 

15㎞に差し掛かるかどうかというところで、右の膝が痛み始めた。

僕はもともと股関節周りが固く、ここ半年ぐらいで練習中に膝に痛みが出ることが増えてきており今回のレースでも膝・すね(特にラン時)に痛みが出ることは予想していた。

予想はしていたのだが、だいぶ早い登場だ。それに、普段痛めやすいのが左膝であるのに対して今回は右膝である。これも予想外だった(別にどちらでも変わりはしないのだが)。

しかし僕も予想できているトラブルに対応策を用意しないほどのアホではない。今回のバイクにあたり、サドルバッグには湿布を入れてあった。

ただの湿布ではない。処方薬である。ロキソプロフェン、つまりはロキソニン。「痛みが出た時に」と処方されたもののだんだん痛みが落ち着いてきたこともあり、もらったはいいが使用せずにたまっていた。

膝に湿布を貼ったところですぐにはがれるのは目に見えてはいたが、何もしないよりはましだろうと持ってきていた。

本当は内服薬のものもあればよかったのだが、こちらは余っていなかった。いずれにせよ胃が荒れていたので使えなかったであろうが。

20㎞地点の相川WSでドリンクを受け取り、トイレに行くために降車。スイム前の胃薬が効いたのか、お腹はだいぶ落ち着いていた。

トイレ後、再度バイクに乗る前に右膝に湿布を貼る。

……

…………

………………

あまり効いてない.……。仕方ないので、とにかく出発。今になって思えば、この時点での痛みはまだましなほうだった。

痛みこそあったがペースは好調で、43㎞地点の高千AS(エイドステーション)にも目標より1時間早い到着。

WSと違ってASではドリンクだけでなくバナナなど食べ物も配っていたが、想定外の糖分摂取は避けたかったのでドリンクのみの受け取り。

同様の理由でコーラもランの最終盤までもらわなかった(コーラは胃への負担が大きく、補給に影響が出るだろうという判断もある)。

補給食は45分ごとにゼリーやスポーツようかんを一本。5月のロングライド(160㎞)ではこの間隔でうまくいっていた。

 

そんなこんなで、佐渡トライアスロン・バイクコースの最初の難関、「Z坂」こと跳坂に到着(だいたい50㎞ちょっとぐらいの地点)。

そのまま上ってしまいたかったが、お腹がゴロゴロし始めたので坂の直前のトイレへ。

難所越えの前に体を軽くしたかったのか、ここのトイレは他の場所よりも立ち寄る人が多かった。

最初の坂は緩やか。ヘアピンを曲がって中腹ぐらいから坂がきつくなりはじめる。とはいっても、5月に走った坂と比べればなんてことはない。

いつも湾岸道路(国道357号線)の橋を渡るときのように、高ケイデンスで一気に登り切ってしまおう。

かの名曲『リンダリンダ』を流しながら「小木坂のほうがきつい!」と書かれたボードを足元に置いたおじさんが応援してくれている。

手を振って応えながら回転数を上げにかかる。

 

ここからが膝の痛みの本当の脅威の始まりだった。

膝の痛みはペダルを踏んだ時に出ていた。力んだ時ではなく、曲げ伸ばしに伴う痛みである。

回転数を上げればそれだけ膝の曲げ伸ばしの機会=膝の痛みが出るタイミングは増える。

ケイデンスが維持できない。ヒルクライムの基本は軽ギア高ケイデンスである。少なくとも僕はそういう練習をしてきたし、それでずっと登ってきた。

ここまでの細かいアップダウンでは痛みはそこまで気にならなかったのが、ここから強くなりはじめた。なんとかZ坂は登り切った(登り切ったあともしばらく上り坂なのだが)。

下りが終わって岩場の合間を抜けていくとすぐに第二の難所と謳われる「大野亀」。こちらは傾斜が大したことないので多少低いケイデンスでも楽に登ることができ、Z坂ほど苦しまなかった。

坂を下ったところで72㎞地点、鷲崎AS。このあたりから眠気が強くなりはじめてあまり記憶がない。

カフェイン入りの補給食を摂ってはいたが、それ以上に強烈な眠気である。膝の痛みほうがよっぽど眠気覚ましになっていた。それでも主にトンネルなどでは寝落ちしていたが。

膝の痛みが極限まで来ていて、このあたりは回転数をできないどころかもはやまともにペダルを漕げなかった。

眠気と痛みの両面作戦。もうなんだか泣きそうだった。

それでもなんとか下り坂(ゆるいが長い)の勢いで進み、ようやく95㎞地点・白瀬WSに12時直前の到着。ブルーシートがあったのでがっつりストレッチ。エアーサロンパスも膝に吹き付ける。

10分ほどストレッチをして出発。痛みはいまだに強いが、いくらか漕げるようになり、両津港を抜けてコースは大佐渡から小佐渡へ。後半戦へ突入である。

 

つづく